サイトを訪れてくれた転職を考える皆さんへのメッセージ
なぜ転職を考えましたか。転職の採用面接でよく聞かれる質問です。転職が一般的になっても、この問いの本質は大きくは変わりません。その答えでその人の意向を大まかに把握し、採用側と求職者のミスマッチを避けるために重要だからです。 転職の意思決定に至る過程には、非自発的、自発的に関わらず、ヘッドハンティングなどを除いて、その人にとって何らかのネガティブな要素が起点となります。例えば賃金への不満、労働環境への不満、倒産や解雇による失業、病気などの離職など、何らかのイベントや不満です。ネガティブなものばかりとも限りませんが、もし完全に満足しているのであれば、ほとんどの人は転職しようとは思わないからです。ステップアップしたいという理由でさえ、本気であれば転職をしなくてもできるという見方もできるからです。
性格など個人差はありますが、転職は消耗戦です。そして歳を取れば取るほど消耗度は高まります。昨今はジョブ的思考や企業においてもオープンな環境で、従来よりもスムーズな人的移動の環境が整ってきています。しかし、それがビジネスである以上、人間関係を新たに構築し、異なる社風に馴染み、仕事を覚えることを同時並行的に行い、速やかに戦力となる必要があります。暗黙のものも含めルールを覚え、諸々の事務手続きを覚える必要があります。転職をミスマッチと捉えてしまう可能性もあります。会社側もミスマッチを感じるかもしれません。自分が持っているスキルは助けてくれるか。自分の考え方と合うのか。感じた印象は間違っていないか。そもそも通用するのかどうか。転職が当たり前と言われる時代になっても、不確実性は存在します。ポジティブな効果を狙って転職した場合、失敗したくないという思いも強くなり、ストレスは大きくなります。昨今は人財の流動化の進展もありフランクな採用やサポートも増えてはいますが、どれだけ転職が一般化しても、それは職業人生の分岐点となる可能性があり、大きなイベントです。さらにAIの進化によって、仕事の将来性と自分のスキルについても深く考える必要にも迫られています。職業人生は様々な要素が絡み合い複雑です。
転職というイベントを普遍的な内容に置き換えれば、採用側において、ポジションや規模などにより無数にあるため一概には言えませんが、「あなたはどのようなメリットを私たちにもたらしてくれるのですか」ということです。転職を自分主体で考えてしまうとこの視点を見失います。これもレベル感が、採用目的が人手不足解消なのか、パフォーマンスの高い従業員採用なのかによっても変わりますが、課題を解決するメリットがなければ採用しません。そのため、転職の成功確率を高めたいのであれば、採用側の課題を正確に認識し、提案を行うことが必要となります。求人の内容だけを見て、その企業の本質を見抜けなければミスマッチの可能性が高まります。そこに自分自身が真のソリューションとならないのであれば、その選択は破綻する可能性が高くなります。
次に転職に必要な本質は、企業の成果とプロセスの考え方です。これは解雇の概念と関連するため重要です。 ビジネスには少なからず結果が求められます。その時、求職者と採用側における成果のとプロセスの考え方に齟齬があるとミスマッチのみならず、心身の不調など人生におけるデメリットをもたらします。 前提として比較的自由な解雇が社会的に許容されている社会と許容されていない社会で大きく異なってきます。解雇が自由な社会では、過去のプロセスはそれほど重要ではありません。成果が出なければ辞めてもらう。逆に解雇が難しい社会では、プロセスを積ませて、成果を出すようにしなければなりません。そのためスキルにも増して、適応し貢献してくれるのか見極める必要があります。だから過去のプロセスも当然重視されます。 国内でもジョブ型雇用へシフトが始まっています。企業の一員としての人財の採用から、仕事に合わせた採用です。そのため仕事がなくなれば、失業する可能性が高くなります。よって流動性が高い場合、ジョブ型採用が有効です。 その一方、かっての終身雇用のような日本型雇用は総合型です。解雇が難しければ貢献できる人財と成長させなければなりません。さらに右肩上がりの経済性成長ではでは利益をすぐに生み出すことではなく、長期的な貢献の原資となってくれればよかったからです。それは人への投資でした。しかし、これは企業が成長し続けることができれば機能します。バブル崩壊後、そのデメリットが目立ちました。国際競争が激化し、短期に利益を上げる必要に迫られ悠長なことは言えなくなったからです。また家族的と思われていたコミュニティにリストラが進み、連帯感とモチベーションを毀損し、活力が失われ保身化が進みました。そしてジョブに縛られず、比較的自由に従業員を活用できる制度のため、低い賃金で働かせることが可能となりました。 悪評が語られ、過去の負債ととらわれがちですが、家族的経営で高い業績を誇っている企業もあり、そのメリットも多くあります。経営者の考え方に大きく左右されるということです。 昨今は、ジョブ型とのハイブリットも進んでいます。この部分はどのような生き方をしていきたいかとも関わるため、よく考えて選択をすることが重要となっています。
そしてそれ以前に、大切なことはこの仕組みのベースとなる企業や組織の成果とプロセスの考え方です。それは理念や企業風土とも関連しています。 有る偉大な経営者は、最後は全て思想だと言いました。本当のミスマッチの回避のためには、採用側の思想を見極め、自分の思想や考え方に近い企業や組織を選ぶことが最もリスクが少ないやり方です。 もっとも、提供される情報は当然きれいにまとめられていることも珍しくないため、あらゆる分析を通して自分なりに判断するしかありません。 しかし入社してみないとわからないということも現実としてあります。最後は、オフィスの空気感や働いている人の表情などから直感的に判断するか、可能であれば見学、現役従業員との交流、トライアル入社などが用意されていれば安心できるでしょう。 そして仕事を探す側も、誇張したり、オブラートで包んだり、都合の悪いことを隠したりしないことが重要です。そして自分が本当に譲れないことや、心から思うこと、それが良心であればそれに従う方がいいでしょう。
働き盛りのメンタルヘルスの不調が増加しています。 ミスマッチが最悪の結果となれば仕事に意味を感じることができず、日々勝ち負けや優劣、生き残りに囚われすぎる可能性が高まり、精神を破壊します。 営利企業で働くことは競争の中に身を置くことです。ミスマッチは双方に不幸です。競争の中では積極的になれなければ弾かれてしまいます。自らが本当に積極的になれるものを仕事にすることが近道です。 有る偉大な建築家は、自らの財産を投げ打ち、その理想に向かいその中でも最高のものを創るために全身全霊を傾けました。そのチームの士気はとても高く、成長意欲が充満していたと言います。最高のものを作っても物質的な見返りは多くありませんでしたが、素晴の精神的リターンを獲得しました。それは自らの心にしたがって生きたからこそだと言えると思います。 それを回避し、実りある人生のために転職の機会というものは本当に有効です。自分自身を見つめ、世界を見て、真剣に考える最高の機会です。隣の芝生はよく見えます。どう見えるかなど周りの目も気になるかもしれません。 もちろん、働くことが人生の全てではありません。しかし働くことは人生を豊かにし、または破壊してしまう恐ろしさすら持つものです。誰でも最後は自分次第です。しかし最後は納得し、肯定できるときその選択は無駄ではなかったと胸を張って歩けるでしょう。もし想いがあるのであれば私たちと話してみませんか。一緒に走りたいと思ってもらえたならば、望外の喜びです。